子供の頃にうっかり忘れ物をして嫌な思いをしたこともありますよね。
時が立ち大人になって子供を持つと、わが子の事が気になります。
「うちの子、忘れ物が多いわ。なんとかならないかしら?」
ちょっとまって、もしかしたら何か病気にかかっているのかもしれません。
忘れ物の多い子供には特殊な共通項があり、病気を一因としているものがあります。
もし忘れ物の原因が病気であるならば、子供の病気を治すことで劇的に忘れ物を減らすことができます。
あなたのうちの子供は忘れ物が多いですか?
もしかしたらその原因は「病気」にあるのかもしれません。
実は多い病気を原因とする子供の忘れ物、誤解と先入観で誤った接し方をすることなく、健やかな子供の成長を見守ってあげましょう。
忘れ物が多い?少ない?線引きはどこで?
忘れ物が多い・少ないというのは、実際は相対的なものです。
人は誰でもものを忘れます。端的に言えばどんな人も忘れ物をしています。
子供によくある忘れ物の例を挙げるならば、
・宿題を忘れてしまった。
・当番(委員や日直など)を忘れてしまった。
・保護者・学校に渡すものを忘れてしまった。
などなど
ですが実際には、これ以外にも忘れてしまっている事はあるはずです。
しかしながら、「重要でない事を忘れても学校生活に影響は少ない」ので、忘れ物が気にならないだけ。というだけなのです。
あなたは先週の晩御飯の内容をすべて覚えているでしょうか?いいえ、覚えていないはずです。
あなたにとって「さほど重要でない事柄」は記憶には残りません。しかしながら重要な事柄は時が立っても覚えているものです。
重要度の度合いは事柄によってさまざまですし、人によって重要な事柄の優先度も変わってきますから、本人にとって重要と思っている事しか記憶に定着されません。
大人と子供では重要度も優先度も違っていて当然でしょう。
忘れ物の回数が多い・少ないと回数で線引きを決めるのではなく、「重要な事柄」をしっかりと覚えているかどうが大切なポイントです。
親にとって大切なことを忘れられてしまうならば、あらかじめ声をかけておくと安心です。「〇〇はお母さんにとって大切なものだから、忘れないようにしてね。」といったように。
重要なポイントをしっかり押さえていることができているのであれば、忘れ物が多くとも日常生活を送る上ではそれほど大きな問題とは受け取らなくとも良いでしょう。
逆に比較的重要な事柄であっても頻繁に忘れてしまうようであれば、注意して様子を見る必要があります。
忘れ物が多い子供の考えられる病気
忘れ物が多い子供はADHDという病気を抱えている可能性があります。
ADHDとはAttentionDeficitHyperactivityDisorderの略で、注意欠如・多動性障害の少々です。発達障害の一種で、脳機能の不全により生活上で様々な困難を抱える病気でもあります。
ADHDの特徴は3つあり、そのすべてが見られる人もいれば、一つだけ強く見られる人もいます。
多動性:落ち着きがない
じっとしていられず、静かにしなくてはいけない状態でも動かずにはいられません。貧乏ゆすりをしたり、手悪戯をしたりなど、常にて足を動かしていた、早口やせっかち、退屈に耐えられないなどの特徴が見られます。
9歳ごろをピークに目立たなくなることが多いようです。しかし、落ち着きのなさは大人になってからも残る場合があります。
衝動性:我慢ができない
後先を考えずに行動する。判断や行動が早すぎる。自分勝手な言動をする。思った事をすぐ口にしやすく、相手の話を最後まで聞くのが苦手。順番を割り込んだり、人のものを無断で使ったりするため、けんかをおこしやすい。
不注意:集中力に欠ける
忘れ物が多いのはこの点が多く影響する。モノをすぐに無くしたり、人の話にぼーっとすることがある。整理整頓が苦手で、身だしなみに無頓着である傾向が良く見られます。
自身に興味の無い事柄に注意力や集中力がない一方で、好きなことには熱中し驚異的な集中力を発揮することもあります。
これらの基本的なADHDの症状は小学校高学年になると、かなり改善されていきますが、「不注意」と「衝動性」は大人になっても残ることが多いようです。
子供の5%ほどがADHDと言われていますが、大人でも2〜4%が該当していると言います。
子供のADHD発症者の内30%ほどは思春期までに症状がなくなり、さらに30%ほどは症状は残るものの目だたくなります。残りの40%ほどは大人になっても困難な状態が続くことが多いようです。
忘れ物が多い子供への接し方
ADHDの子供は、前日に学校の用意をするといったような、日常的なルーティンがなかなかできません。「準備ができたらおやつを食べようね。」と言ったように、目に見えるご褒美を用意すると「準備をしよう!」という動機に繋がり、日々のルーティンに取り組めるようになります。
確実に生活習慣に取り込めるようになるまでは根気が必要で、ひょんなきっかけでできなくなってしまうこともあるので、繰り返し繰り返し教えていきましょう。
また、できた時には大いに褒めてあげてください。「よく頑張ったね!」「ちゃんとできたね!」と言葉にして褒めてあげると、子供の自信と自尊心が育ち、自主性と自律性を育てる効果があります。
ですが反対に、できない事をを責めたり罰を与えたりすると、症状が悪化してしまうので逆効果です。「良い面を見て伸ばす」「褒めて育てる」教育の基本の内容ですが、この基本を通して親子の関係を強く太くしていくと、それに伴って内面が安定し、症状を緩和させる効果も期待できます。
ADHDの子供と接するときのポイント
@体罰を与えない
たたかれて育った子はたたく子に育ってしまいます。同時に親を憎むようになり、思春期以降の身体の発達したころに家庭内暴力として大人への反発をみせる子供に育つことがあります。
大人への信頼感や親子の絆、子供の美しい心を壊さないためにも体罰は絶対に避けましょう。
A注意する回数を減らす
良い面に目を向け、叱るよりも褒めるようにしましょう。子どもが何かに集中していると聞こえていない事も多いので、注意する必要がある時は、まず子供の注意をこちらに向けてから言葉をかけるのがポイントです。
B言葉の暴力をやめる
暴言は子供の心をひどく傷つけ、望まない方向へと行動をエスカレートさせてしまいます。ネガティブな言葉は控えてください。
またどなるなど大きな声をあげるのも控えてください。先の体罰と同様に、自分の感情を表現できなかったり、状況に対応できなかったりした時に、大声を上げて自分の意見を貫こうとするようになります。
C他意はないことを理解する
ウソをつくのは叱られるのを避けられるためであり、困らせるためにやってるわけではありません。
どのような言動や行動も、表現の仕方がわからずに行ってしまっている事と考えてあげると、保護者の心も楽になります。
成長途中の心ですから、自分を正確に表現する事が出来ないのです。
最後に
ADHDは確かに病気ですが、必ずしも社会に適合できなくなってしまうものではありません。
子供のうちから自分の心や気持ちと上手に付き合う方法を教えてあげる事が出来れば、仮に症状が消えなくても軽減させたり、意識的に抑えることもできるようになります。
子供の年代に合わせて接し方を変えていく事も必要ですが、一番は子供を窮屈な枠の中に押し込めず、のびのびと育ててあげる事が大切です。
子供が好きなことに没頭できる時間を作ってあげたり、ポジティブな声かけや言葉遣いで親子関係を良好な状態に保ったり、過保護や放任など極端な対応をせず、常にフォローアップできるようにしてあげましょう。
長期的には子供にどうなってほしいのか?どんな大人に育ってほしいのか?
あまり窮屈に考えずに、おおらかな心を持って見守ってあげてください。